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 星の座

  宙天にきらめく星の目守りゐむ永遠へと還るけふのいのちを 

  過ぐる日に座標てふものありたるや星の宿りのさだかなるごと

  星の座のひろごり仰ぐうつし身にただ遥かなりきのふもあすも

  星雲のかなた呼び交ふこだまあれひと生るるときまた死ぬるとき

  まなうらの宙にとどまる凍星に照らされゐるはたましひならむ

  そびらより鳥かげ翔くる予感ありまなさき傾ぐ北斗の星へ

  いつの世の既視感ならむ星明りの川辺に突き立ついつぽんの杭

  柿の実のいくつか残る枝かげのあなたひかるは秋のひとつ星

  星空より圧しくる韻きいつしらに酔歩を急かす風となりたり

  星の夜の無量のひかり浴びをればこの身に浮力やどるがごとし

  地上にはとどかぬ漣わたりけむ星の墜ちにし名残りのそらに

  ちちははも来たりてはまた還りけれ生死のそとの星くづの海

  眉間のおくかすか疼きぬ綺羅星のひたぶる瞬き見つめゐたれば

  息てふはいのちの灯りつなぐこと星のかけらのこのししむらに

  満天のそらのけはひに染まりゆく夢見のさわだち熄みたるこころ

                                                           (2014年「砂金」五月号・巻頭詠